義経 打倒平家69 屋島合戦1 那須与一
屋島源平合戦1 那須与一
屋島(地図)
5 祈り岩
那須与一が扇の的を射落すときに岩のところで「南無八幡大菩薩・・・・願わくばあの扇の真ん中を射させたまえ」と祈ったと伝えられている岩。
6 駒立岩(こまたていわ)
那須与一は、扇の的を射るため海中まで馬を進めこの岩の上に馬を立たせて的を射たと言われる場所。
扇までの距離:約72メートル
平家物語「扇の的」
時は二月十八日、午後六時頃のことであったが、平家側の船から女官が現れ扇の的を射させようとした。
折から北風が激しく吹いて、岸を打つ波も高かった。竿頭(かんとう 竿の先)の扇もそれにつれて揺れ動き、しばらくも静止していない。
沖には平家が、海上一面に舟を並べて見物している。陸では源氏が、馬のくつわを連ねてこれを見守っている。
与一は目を閉じて、
「南無八幡大菩薩、我が故郷の神々の、日光の権現、宇都宮大明神、那須の湯泉大明神、願わくは、あの扇の真ん中を射させたまえ。これを射損じれば、弓を折り、腹をかき切って、再び人にまみえる心はありませぬ。いま一度本国へ帰そうとおぼしめされるならば、この矢を外させたもうな。」
と念じながら、目をかっと見開いて見ると、うれしや風も少し収まり、的の扇も静まって射やすくなっていた。
与一は、かぶら弓を取ってつがえ、十分に引き絞ってひょうと放った。
小兵とはいいながら、矢は十二束三伏で、弓は強い、かぶら矢は、浦一帯に鳴り響くほど長いうなりを立てて、あやまたず扇の要から一寸ほど離れた所をひいてふっと射切った。かぶら矢は飛んで海へ落ち、扇は空へを舞い上がった。しばしの間空に舞っていたが、春風に一もみ二もみもまれて、海へさっと散り落ちた。
夕日に輝く白い波の上に、金の日輪を描いた真っ赤な扇が漂って、浮きつ沈みつ揺れているのを、沖では平家が、舟端をたたいて感嘆し、陸では源氏方は「ああ、よく射た」とえびらをたたいてどっと歓声を上げた。
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